ずっと雨を待っていた。
行きたいリストの中に入っていた、奈良県生駒市の宝山寺。
できれば、雨の日に行きたいな。
参道の、境内の、艶っぽさを切り撮りたいと願っていたから。
ただ贅沢を言うならば、もう少しほどほどに降って欲しかったw
10月の声を聴くころから途端に涼しくなった。
これなら多少動き回っても汗をかかずに済みそうだ。
10月1日は予報通り朝から雨。
前日の晩に用意していたバッグを背に、車に乗り込んだ。
珍しく電車じゃない理由は、雨の中駅まで歩くのが憂鬱だったこと。
車の方が早く到着できるから。
そう、できるだけ人の少ない時間に歩き始めたかった。
生駒ケーブルの鳥居前駅近くのコインパーキングに車を停め、雨の中覚悟を決めて歩き出す。
宝山寺は生駒山の中腹に位置するので、当然登り一辺倒。
坂道~階段~坂道~階段と続く参道を鈍った身体に鞭打ちつつ登る。
雨を避けるためというよりは、たすき掛けしたRX100M7を護るために着込んだレインウエアは湿気に我慢できず早々に脱いだ。当初の思惑とは違い、タオルで流れる汗を拭きつつ、息を荒げて登りながらも、静かな参道歩きを楽しんでいた。
参道を登りつめていくのは僕を含め僅かに数人。
これは静けさを楽しめそうだと思っていたが、山門近くの駐車場にはすでにかなりのクルマがあった。
人混みを避けるように一気に奥の院まで行くことに決める。
途中で、今日が1日だったことに気づく。
今日はご縁日だから、人が多いんだ。
しかし、案外に奥の院まで足を延ばす人は少なく、少し霞がかった妖艶な雰囲気を楽しめたのはなにより。
御朱印を頂いたのち、あれだけ登ったのだからと言い訳しつつのカロリー補給。
できることならば、境内に着く頃には雨が上がっていてくれたらなあと願っていたが、止むどころか時折激しさを増す一方だった。
この日のお目当てのひとつだった『獅子閣』は普段は非公開と知らず境内をあっちこっち彷徨うも全く近づけない有様。
後から調べると2023年秋の特別公開は10月8日、9日とな。
1週間早かった…
雨だからか、やはり徒歩で往復する人はずいぶんと少ないままだった。
ひざの痛みを考えると帰りはそろそろ動き出す時間に差し掛かったケーブルカーを使う方が良さそう。
宝山寺は生駒聖天さんと呼ばれていて、僕が小学生だった頃我が家の初詣はここ宝山寺だった。
父親の運転する車に揺られながら、山道を往復していた記憶があるのみだ。(当時はまだ阪奈トンネルは無かった)
駐車場~境内の往復だったので、表参道を登りつめての参拝は今回が初めて。
(ずいぶんと前に、大阪側から生駒山を登って、山上遊園地からケーブルカーで宝山寺駅まで下りてきて、そこから参道を下って生駒駅を目指したことはあったけれど。)
『満月と近鉄』という好きな本がある。
その中に、この宝山寺周辺が舞台になっているお話しが入っていて、何回も読み返すほど好きなストーリーなのだが、いつの日か本を片手に聖地巡礼をしたいなあと思い続けている。
そう、だからまた来るよ。
そして下界に着く頃にはあれほど降っていた雨は上がった。
そう、登山あるあるだ。
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