京都にある出町座という名の小さな映画館。
ここでずっと映画を観たいと思っていた。
出町桝形商店街という、とてもコンパクトな商店街の一角にある映画館。
京都駅や四条河原町のような繁華街にある映画館ではない。
少し変態気味に言えば、その立地だけで十分に身悶えしてしまいそうな場所だ。
ただこれまでは、観たい映画とそのタイミングが合わずに、いわば一方的な片思いを寄せる映画館だった。
1987年に公開された「夢みるように眠りたい」という映画がある。
当時二十歳かそこらだった僕は映画館で観たわけだが、わりかし好きな映画のひとつにカウントしていた。
無声映画の趣きで作られたその映画は、当時は当然フィルムだったのだけれど、このたびデジタルリマスターされて再び公開されることになった。
大阪では、九条の「シネ・ヌーヴォ」。
京都では、件の「出町座」。
シネ・ヌーヴォも気になっていた映画館だった。
そんな映画館で、昔好きだった映画が再びかけられるって知ったら、それはもう観に行くしかないわけだ。
ふんわりとしたシート。
素晴らしい音響。
そんな今的な映画館で観る映画ももちろん楽しい。
だけど、映画館そのものに恋して観に行く映画もまた楽しいのだよ。
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